バンコクは高層ビルや国際色豊かな街並みだけではなく、古き良き伝統や現地の生活感が色濃く残るローカルな屋台街や市場が多数点在しています。観光客だけでなく、地元の人々に愛されるこれらのエリアでは、タイならではの食文化、歴史、そして多文化共生の空気を感じることができます。ここでは各エリアごとに、昔ながらの風情と現代的な魅力が融合したバンコクのローカルスポットを詳しくご紹介します。
リバーサイドエリア
バンコクの顔とも言えるチャオプラヤー川沿いは、古い町並みとローカル文化を体感できるエリアです。ここでは川を眺めながら散策できる通りや伝統的な市場、夜の屋台マーケットなど多様な魅力が溢れています。
ジャルンクルン通り(BTSサパンタクシン駅周辺)
ジャルンクルン通りは、バンコク最古の通りとして知られ、歴史を感じさせる建物や昔ながらのお店が立ち並びます。BTSサパンタクシン駅付近は、通称「バンラック」とも呼ばれ、路地裏には本格的なローカルグルメが味わえる屋台が集まっています。ここを歩くと、昔ながらの生活風景や街の温かみを感じられるでしょう。
バンラックナイトマーケット
同エリア内に広がるバンラックナイトマーケットは、昼間は食材を中心とした屋台が軒を連ね、夜になると服や雑貨、アクセサリーの屋台が並ぶ賑やかなスポット。ローカルな雰囲気の中で、屋外ネイルやマッサージなどタイならではのサービス体験も楽しめます。観光客にも馴染みやすいフードコート形式の店舗もあるので、衛生面を気にする方も安心です。
バンラック朝市
ジャルンクルン通りから少し入った場所に位置するバンラック朝市は、地元の台所として機能する市場です。朝早くから活動が始まり、新鮮なお肉や魚、野菜などの食材が並び、活気ある市場の雰囲気を肌で感じることができます。市場内ではハラール対応の食材や、地域色豊かな食材も見られるため、タイの食文化をダイレクトに体験できる場所です。
マンダリンオリエンタル裏手の屋台街
有名なマンダリンオリエンタルホテルの裏手には、ムスリムのコミュニティが根付く屋台街があります。ここはフランス大使館近くに位置しており、壁画やアートが印象的な通りを歩けば、タイとフランス、さらに中東の文化が交差する独特の雰囲気が漂います。地元で人気のパッタイやロティを手軽に味わえるほか、日本人経営の小さな店も点在しているため、異文化交流のワクワク感も味わえます。
ウェアハウス30・リバーシティーバンコク周辺
近年、アートやカフェ文化の発信地として注目されるエリアです。ウェアハウス30周辺には、個性的なギャラリーやカフェ、レストランが並び、古い建物をリノベーションした趣ある雰囲気が漂っています。現代アートの中心として若者にも人気があり、のんびりとした時間を過ごしながら、バンコクの新しい側面を発見できるスポットです。
サイアムエリア
バンコクの中心部に位置するサイアムエリアは、華やかなショッピングモールや高級ホテルが立ち並ぶ一方で、路地裏や小道に残るローカルの空気も感じられるエリアです。地元民に愛されるグルメストリートや市場が点在しており、観光と地元体験を両立させることができます。
バンタットン通り
バンタットン通りは、サイアムエリアを代表するグルメストリートです。ここには昔ながらのローカル食堂や屋台が軒を連ね、美味しいタイ料理をリーズナブルな価格で楽しむことができます。バンコク在住者にもおすすめのエリアで、観光客が多いエリアから一歩外れると、本当のタイの味を発見できるでしょう。
サムヤーン市場
MRTサムヤーン駅の近くに広がるサムヤーン市場は、都会の真ん中でありながら地元の生活感あふれる市場です。新鮮な野菜や果物、そしてタイの伝統的なスナックが並び、朝から賑わう様子は、まさにバンコクの生きた証となっています。市場散策をしながら、地元の人々と交流するのも楽しい体験です。
プラトゥーナムエリア
サイアム駅から少し足を伸ばすと、プラトゥーナムエリアがあります。ここは大型ショッピングモールの分煙エリアとしても有名ですが、同時に屋台が点在するローカルなエリアでもあります。ショッピングと同時に、路上に並ぶ屋台で提供される伝統的なタイスイーツや軽食を味わいながら、バンコクの多様な魅力に触れることができます。
ラッタナコシン(王宮)エリア
バンコクの歴史の中心、王宮周辺を含むラッタナコシンエリアは、古い街並みと現代の華やかさが共存するエリアです。観光客だけでなく、在住者にも人気のスポットで、チャイナタウンや旧市街が隣接し、異なる文化が入り混じった風景が広がります。
ヤワラート(チャイナタウン)
ヤワラートは、バンコクのチャイナタウンとして知られ、活気ある屋台や中華料理の店が軒を連ねています。通りの両側には、老舗の飲食店や最近オープンしたおしゃれなカフェもあり、一度目に留まるだけではなく、何度も訪れたくなる魅力があります。屋台では、点心、麺料理、さらには珍しいスイーツまで幅広い料理が楽しめ、食の天国と評される所以がここにあります。
サンペンレーン
チャイナタウン内に位置するサンペンレーンは、卸問屋街として知られますが、小物やアクセサリー、雑貨などを見ながらのお買い物散策が楽しめるエリアです。狭い路地にたくさんの店が並び、ついつい時間を忘れてしまうほどの魅力があります。小学生連れでも気軽に楽しめる雰囲気で、多国籍な品揃えが特徴です。
タラートノイ
タラートノイは、かつてのローカルな市場のエリアですが、近年はアートとおしゃれが融合した新たな文化の発信地として注目されています。古い倉庫や一軒家を改装したカフェやレストランが立ち並び、壁画やストリートアートが溢れる通りは、フォトジェニックなスポットとしても人気。ゆっくりと散策しながら、地元アーティストのエネルギーを感じることができます。
ソンワート通り
チャオプラヤー川沿いにあるソンワート通りは、若者文化とタイの伝統が交差するエリアです。多くの個性的なカフェやバー、ストリートフードの屋台が立ち並び、昼夜を問わず活気に満ちています。ここでは、バックパッカーや若い現地住民の姿も多く、トレンドを感じながらタイの歴史的背景に触れることができる一石二鳥のエリアです。
オールドタウン(旧市街)
バンコクの旧市街エリアは、歴史ある寺院や伝統的な建物が点在し、タイの古き良き時代を感じさせるスポットです。狭い通りを歩けば、ミシュランビブグルマンに認定された老舗の食堂や、独特の趣を持つカフェが並び、まるで時が止まったかのような情景が広がります。観光客はもちろん、歴史好きな旅行者にもおすすめのエリアです。
パーフラット
パーフラットは「バンコクのインド人街」として知られ、タイの風景の中にインド文化が色濃く溶け込んだ独特の雰囲気が魅力です。ここでは、カラフルなサリーやスパイス、インド菓子が並び、散策するだけでも異国情緒を満喫できます。エリア内に点在するシーク教寺院では、誰にでも温かく無料の朝食を提供しており、心温まる交流も体験できる貴重なスポットです。
パーククローン花市場
バンコク最大の花市場であるパーククローン花市場は、朝から夜まで色とりどりの花々が並ぶ活気あふれるエリアです。地元の人々が日常的に利用する市場ならではに、花束や生花の美しさ、そして店ごとに異なるディスプレイが見どころです。また、花市場内にはカフェが併設されており、花に囲まれた落ち着いた空間でひと休みすることもできます。
テーウェート市場
テーウェート市場は、本格的なローカル市場として、ナマズやカエルなど意外な食材が取り扱われる、ディープな雰囲気が漂うエリアです。生き物を目の当たりにしながら歩く市場は、時に衝撃的な光景もありますが、その一方で、生のタイのリアルな風景を感じさせる貴重な体験スポットとなっています。市場の近くには運河もあり、ボートでのんびりと移動するのもおすすめです。
カオサン通り
世界中のバックパッカーが集うカオサン通りは、昼は落ち着いた屋台の雰囲気、夜は活気あふれるストリートパフォーマンスやナイトマーケットに変貌するエリアです。リーズナブルな宿泊施設が多く、若者や旅行者には大人気。屋台料理では、定番のタイ料理から、少し冒険的なエキゾチックフードまで幅広いメニューが揃い、食文化の多様性を堪能できる場所です。
スクンビットエリア
バンコク有数の国際色豊かなエリアであるスクンビットは、日本人や西洋人の居住者が多く、近代的な商業施設も充実しています。しかし、駅周辺や路地裏に足を踏み入れると、たくさんのローカル屋台や市場が現れ、タイの生活感に触れることができます。
プロンポン駅前
プロンポン駅周辺は、高層ビルや大型ショッピングモールがある一方で、意外にも通り沿いにローカルな屋台が点在しています。特に、半屋外の屋台では本格的なカオマンガイや、地元の味を手軽に楽しむことができ、外国人住民にも地元民にも人気のスポットです。
アソーク駅前と朝の屋台
アソーク駅前は、ビジネス街として知られるエリアですが、出勤前の朝に、活気ある屋台でコーヒーや軽食を楽しむ光景が見られます。朝早くから出勤するビジネスマンたちが列を作る光景は、バンコクのリアルな一日が始まる瞬間で、ここならではのローカルな情景を味わえます。
シーナカリン大学(SWU)のマーケット
火曜日と木曜日に開催されるシーナカリン大学内の朝市は、学生や地域住民に愛される清潔感のある市場です。ここでは、生鮮食品はもちろん、タイの伝統的な軽食やデザートが販売され、安心して食材を購入することができます。また、近くにある学食で休憩を取りながら、地元の学生生活の一端を垣間見ることができます。
クロントゥーイ市場
バンコク最大級の市場、クロントゥーイ市場は、その広大な規模と多様な商品ラインナップが特徴です。ローカルな市場特有の喧騒の中で、タイならではの食材や雑貨を見ることができ、観光客にとっては普段のショッピングとは一味違った体験ができる場所です。市場内の雰囲気を楽しみながら、地元の生活文化に触れることができます。
オンヌット駅周辺とローカルの雰囲気
スクンビット線の少し外れたオンヌット駅周辺は、国際的なエリアと比べると、より一層ローカルな空気が漂うエリアです。駅を降りた瞬間に感じる、土臭さや生活感あふれる通りには、スーパーや小さな市場、そして路上で食事が提供される屋台が点在しており、初めて訪れる方にも手軽にタイの暮らしを感じられるでしょう。
トンロー市場
トンローは、バンコクのブルックリンとも評されるトレンディなエリアですが、その一角には小さなローカル市場が存在します。朝早くから活気ある市場では、新鮮な野菜やハーブ、スパイスが活発に取引され、地域の料理人や在住外国人にも支持されています。洗練されたカフェやブティックと、昔ながらの市場風景が隣り合わせになっている点が、トンローならではの魅力です。
サトーン/シーロムエリア
オフィス街として知られるサトーンやシーロム地域は、ビジネスマンが朝食やランチをとるための屋台が多数軒を連ねています。昼間の人通りの多い通りでは、地元のサラリーマンや観光客が一緒になって、タイ各国の伝統料理を楽しむことができる場所です。
シーロム駅周辺の屋台
シーロム駅周辺では、オフィス街ならではの早朝から正午にかけて、多くの屋台が賑わいます。エリア内には、座って食事ができる屋台も点在しており、日々のルーティンの中に溶け込んでいる風景が広がります。ここでは、手軽に地元の朝食や昼食を楽しむことができ、旅行者もローカルの生活リズムに触れることができます。
ルンピニ公園早朝マーケット
ルンピニ公園付近では、朝の涼しい時間帯に開かれるマーケットが人気です。ここでは、生搾りジュースや焼きたてのクロワッサン、地元の伝統料理が味わえ、緑豊かな公園とともに、穏やかな朝のひとときを楽しむことができます。
パッポンナイトマーケット
夜になるとサトーン・シーロムエリアの一角ではパッポンナイトマーケットが開かれます。観光客向けのフェイクブランド商品やタイパンツ、お土産アイテムが並ぶ一方で、半裸のダンサーやストリートパフォーマンスも見られる、昼間とは違った夜の顔も楽しめるエリアです。ファミリーで訪れる場合は、夕方の開店直後の落ち着いた時間帯に散策するのがおすすめです。
その他のエリア
バンコク中心部以外にも、少し足を伸ばせばローカルな魅力が詰まったエリアが存在します。これらのスポットは、観光客にはあまり知られていないことも多く、よりディープなタイ文化に触れたい方にぴったりの場所です。
クローンバーン水上マーケット
バンコク郊外に位置するクローンバーン水上マーケットは、アートとローカル文化が融合したユニークなエリアです。ここでは、伝統的な木造ボートで運ばれる野菜や果物、魚介類とともに、地域の人々が手仕事で作る工芸品やアート作品が展示されており、まるでタイの田舎に迷い込んだかのような感覚を覚えます。子どもたちが魚の餌やりやアートクラフト体験に参加できるなど、家族連れにもおすすめのスポットです。
ローカル街歩きのおすすめルート
ローカルな雰囲気を存分に味わいたいなら、バンコクの屋台や市場を巡る一日散策コースを体験してみてください。以下は、代表的なコースの一例です。
① BTSサパンタクシン駅でスタート
まずはBTSサパンタクシン駅で降車し、ジャルンクルン通りの歴史を感じながら散策を開始します。古い商店や道端に軒を連ねる屋台を眺めつつ、バンコクの過去と現在が融合する風景に触れてください。
② 1番バスに乗ってタラートノイへ
駅周辺を楽しんだ後は、レトロな赤やオレンジ色の古いバスに乗って、タラートノイ方面へと向かいます。バスに乗るだけで、昔ながらのタイの交通事情や、路上の風景もまた新たな発見となるでしょう。
③ タラートノイを散策
タラートノイでは、路地裏に点在するおしゃれなカフェや伝統的な屋台、そしてストリートアートが待っています。壁に描かれたアート作品をバックに、昼食を楽しむのも良いでしょう。ここでは、隠れ家的なレストランや手作りの雑貨店にも出会えるかもしれません。
④ チャオプラヤエクスプレスでチャイナタウンへ
タラートノイからは、チャオプラヤエクスプレス船に乗ってチャイナタウンへ移動します。船上から眺めるバンコクの街並みや、川沿いに広がる市場の風景は、また格別です。船着場で降りた後、チャイナタウンの一角を思いっきり散策しましょう。
⑤ ソンワート通りを歩く
チャイナタウンに近づくエリアでは、ソンワート通りを中心に広がるカフェホッピングが楽しめるスポットをゆっくり歩いてみてください。個性的なカフェや地元の料理店を見つけながら、街の雰囲気に浸ってみるのがおすすめです。
⑥ サンペンレーンでショッピング
道中、サンペンレーンに足をすべらせれば、小物や雑貨の買い物が楽しめます。子ども向けのお土産や、珍しい装飾品が並ぶ店で、思わぬ掘り出し物に出会うかもしれません。
⑦ ワットマンコンで厄払い
チャイナタウンの奥にあるワットマンコンは、独特の中国寺院として厄払いの儀式を体験できる場所です。歴史的な建物や、地元の信仰が息づく様子を見学し、心がほっと和むひとときを過ごしてください。
⑧ MRTワットマンコン駅から帰路に着く
最後に、ワットマンコン駅からMRTで簡単にアクセスできることも魅力のひとつ。ローカル街歩きの締めくくりとして、充実した一日を実感しながら帰路についてください。
まとめ
バンコクのローカル屋台街や市場は、単なる観光スポットではなく、地元住民の日常生活と密接に結びついた生の文化が溢れる場所です。リバーサイドエリアで歴史を感じ、サイアムエリアで都会の中にあるローカル感に触れ、ラッタナコシンエリアで多文化が交錯する情景を楽しむ――そしてスクンビットやサトーン・シーロムエリアでは、現代と伝統が融合するリアルなタイの姿に出会えます。さらに、少し足を伸ばせばクローンバーン水上マーケットのようなディープな体験も可能です。
観光客として訪れるもよし、またはタイ移住者として地元の生活を体験するもよし。バンコクは屋台や市場一つ一つに、笑いあり感動ありのストーリーが詰まっています。この記事を参考に、自分だけのお気に入りスポットを見つけ、バンコクならではの温かい景色と美食、そして文化の香りに包まれる旅を楽しんでみてください。
バンコクの多様なローカルエリアでの街歩きは、決してマニュアル通りではなく、自分の歩幅や好みに合わせた自由な散策が最も魅力的です。新旧が融合したこの街で、ふとした瞬間に出会うローカルな笑顔や、屋台の小さな温かさに、あなたもきっと心を奪われることでしょう。


