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ライオンズクラブが気持ち悪い・怪しいと言われる理由を調査

ライオンズクラブ。その名前を聞くと、一部では「金持ちの集まり」「怪しい団体」「カルトっぽい」といったネガティブなイメージを抱く人もいるかもしれません。しかし、本当にそうなのでしょうか?

本記事では、ライオンズクラブに対する誤解と、その実態について、より深く掘り下げ、多角的な視点から解説します。

目次

ライオンズクラブへの誤解:なぜ「気持ち悪い」「怪しい」と言われるのか?その根底にあるもの

ライオンズクラブが「気持ち悪い」「怪しい」と言われる理由として、先入観や情報不足、一部会員の行動、そして組織構造自体に潜む問題など、多様な要因が複雑に絡み合っています。

1. 金持ちの地位向上や暇つぶしのための団体という誤解:表面的なイメージと現実のギャップ

高級ホテルでの例会やゴルフコンペといった情報が、メディアや口コミを通して拡散されることで、「金持ちが地位や名誉、あるいは暇つぶしのために集まる団体」という誤解が生まれやすくなっています。確かに、会員の中には経営者や高収入者、社会的地位の高い人が多く含まれるのは事実です。しかし、それはライオンズクラブの目的そのものではなく、むしろ会員の属性が結果的にそう見せている側面が強いと言えます。

実際は、ライオンズクラブは1917年にアメリカのシカゴで創設され、「We Serve(我々は奉仕する)」というモットーのもと、地域社会や国際的なニーズに応える奉仕活動を主な目的としています。会員の多くはその専門知識や経験を活かし、社会貢献活動に積極的に参加しています。日本では1952年に東京で最初のクラブが結成され、その後全国に広がりました。2024年の最新データによると、日本国内には約2,760のクラブがあり、約97,000人の会員が所属しています。

外部からはエリート集団と見られがちですが、入会資格は「善良で地域社会で声望のある」人物であることが基準であり、必ずしも経済力だけで判断されるわけではありません。奉仕の精神を持った様々な職業の人々が集まっています。このような実態と外部イメージのギャップがネガティブな印象を助長している面があります。

2. 高額な会費と、それに見合わない活動への不満:透明性の欠如と期待値のずれ

会費の高さは、ライオンズクラブに対する批判の大きな要因の一つです。地域差はありますが、入会金、高額な年会費に加え、例会参加費、各種イベントへの参加費、交際費などが負担となるケースがあり、特に若い世代にとっては大きな障壁となっています。

注目すべき点としては、ライオンズクラブの会費は基本的に二つの目的に分かれていることです。一つは国際本部や各地区への会費で、もう一つはクラブ自体の運営費です。しかし、クラブによっては会費の使途に関する透明性が不足しているケースもあり、納得感を得られない会員も少なくありません。

例えば、税理士からの見解によると、ライオンズクラブの会費自体は消費税不課税取引とされていますが、その他の活動費や例会費などの詳細な内訳が明確でないことがあります。また、法人会員と個人会員で会費の取扱いが税務上異なることもあり、これも混乱の原因となっています。

効果的なクラブは、会費の使途を明確にし、会員の納得感を得られるような仕組みづくりを心がけています。会費と活動内容のバランス、そして透明性の確保が、会員の満足度、ひいては組織全体のイメージに大きく影響を与えているのです。

3. 人脈作りやビジネス拡大が目的と見られるケース:利己的な目的と奉仕活動の混同

一部の会員が、人脈作りやビジネスチャンスの拡大を主な目的として入会し、その活動に重点を置くケースも否定できません。ボランティア活動よりも自身のビジネスアピールやネットワーク構築に重きを置く会員の存在は、外部からの誤解を招き、組織全体のイメージを損なう可能性があります。

ライオンズクラブ国際協会337-B地区の資料によれば、「ライオンズクラブは単なる社交クラブや慈善団体ではない」と明確に述べられています。本来の精神は「奉仕そのものも目的であるが、さらに奉仕を通して社会に善意の心の美しさを呼びおこすこと」にあります。社会貢献と人脈形成の適切なバランスが取れないケースが批判の対象となっています。

一方で、人脈形成自体は悪いことではなく、異業種交流によって新たな視点が生まれ、より効果的な奉仕活動につながる面もあります。しかし、それが主目的となってしまうと本来の理念から外れてしまいます。クラブによっては、入会前オリエンテーションなどで奉仕活動の重要性を強調し、会員の意識改革に努めているケースもあります。

4. 会員の高齢化と若手会員の不足:世代間の断絶と組織の活性化

多くのライオンズクラブでは、会員の高齢化が進み、若い世代の参加が少ない傾向にあります。これは、組織の活性化にとって大きな課題です。ライオンズクラブ国際協会も若い会員の獲得を重視しており、「若手ライオンズとのつながりを」というガイドを作成し、各クラブに若い世代の勧誘を奨励しています。

イスラエルの地区ガバナー、エドナ・アルタル氏は、「組織の次世代を担う若い会員を継続的に募る必要があります。若手会員はクラブに新しい活力を注ぎ込み、ワクワクするような新たな方法で奉仕しようという気持ちをベテラン会員に起こさせてくれるでしょう」と語っています。

また、若い世代にとって会費の負担や時間的制約が入会障壁となっていることから、より柔軟な参加形態の導入や、デジタル技術を活用した運営の効率化なども求められています。ライオンズクラブ国際協会は「クラブ活性化計画」という戦略ツールを提供し、各クラブが自己分析を通じて改善点を見つけ、世代間のギャップを埋める取り組みを支援しています。

最近では、企業内クラブの結成も注目されています。従業員の社会貢献活動を企業が支援する形で、時間の確保が難しい働き盛りの世代でも参加しやすい環境を整備する試みです。このような新しい取り組みが、ライオンズクラブの未来を明るくする可能性を秘めています。

5. ライオンズマンションや宗教団体、秘密結社との混同:全くの別物であることの明確化

「ライオンズマンション」との関連性や、宗教団体、秘密結社との誤解は、ライオンズクラブにとって大きなマイナスイメージとなっています。これらの団体との関連性は全くなく、ライオンズクラブはあくまで社会奉仕を目的としたボランティア団体です。

歴史的に見ると、ライオンズクラブの名称は、「LIONS」が「Liberty(自由)、Intelligence(知性)、Our Nation’s Safety(われわれの国の安全)」の頭文字から来ています。また、強さや勇気、忠誠、生命活動の象徴としてのライオン(獅子)にちなんでいるとも言われています。

ライオンズクラブの透明性を高めるため、多くのクラブではウェブサイトを通じた情報発信や、地域メディアとの連携を積極的に行っています。奉仕活動の様子を公開することで、秘密結社などの誤解を解消する取り組みが進められています。また、一般の人々も参加できるチャリティイベントなども多数開催し、組織の開放性をアピールしています。

6. 「ガオー」という独特の挨拶:文化的理解の必要性

ライオンズクラブの独特の挨拶である「ガオー」は、一部の人からは「カルトっぽい」と感じるかもしれません。しかし、これは単なる会員間の親睦を深めるための挨拶であり、特別な意味を持つものではありません。

このような独自の文化や伝統は、組織の一体感を高める目的で各種団体で見られるものです。内部ではユーモアや親しみを込めた習慣として受け入れられていますが、外部からは奇異に映ることがあります。こうした文化的要素を理解せずに、表面的な印象だけで判断するべきではないでしょう。

むしろ、このような独自の文化は組織のアイデンティティを形成し、会員の帰属意識を高める要素として機能しています。近年では伝統を保ちながらも、若い世代に受け入れられやすいよう、より現代的なコミュニケーション方法も取り入れられつつあります。

ライオンズクラブの実態:社会貢献活動と課題の両面

誤解が多い一方、ライオンズクラブの本来の姿は、世界中に広がる最大の奉仕クラブ組織です。最新情報によると、世界200ヶ国以上で約49,000のクラブ、約140万人以上の会員を擁しています。国際協会では、視力保護、環境保全、小児がん対策、食料支援、糖尿病対策といった五つの重点分野に力を入れています。

特に注目すべきは、ライオンズクラブの活動が地域に密着した草の根レベルから、国際的な規模まで幅広く展開されている点です。地域社会への貢献を目的とし、会員は様々なボランティア活動に積極的に参加しています。具体的な活動内容としては以下が挙げられます:

  1. 献血活動:地域の人々や大学と連携して献血を促進する活動。健康な人々が献血を通じて他者を助ける機会を提供しています。
  2. 環境保全活動:公園や海岸、河川の清掃活動、植樹活動などを通じて、地域の環境美化に貢献しています。
  3. 子どもの貧困対策:経済的に厳しい状況にある子どもたちへの食事提供や食料贈呈など、子どもの健全な成長を支援する活動を行っています。
  4. 災害復興支援:地震や洪水などの自然災害が発生した際に、緊急支援のための募金活動や被災地へのボランティア派遣を積極的に行っています。
  5. チャリティスポーツイベント:ゴルフやマラソンなどのスポーツイベントを通じて、参加費の一部を寄付金として様々な団体に寄付する活動も人気があります。

このような社会貢献活動を支える資金は、会員の会費だけでなく、チャリティーイベントやバザーなどを通じて調達されています。ライオンズクラブの会員は一定の会費を納めていますが、これはクラブそのものの運営費にあてられ、実際の奉仕活動の資金はその都度適切な方法で集められています。

一方で、前述したような高齢化や透明性の問題など、組織としての課題も抱えていることは事実です。ライオンズクラブ国際協会も、これらの課題を認識し、「クラブ活性化計画」などのツールを通じて、各クラブの改革を支援しています。特に若い世代の参加を促進し、デジタル技術を活用した効率的な運営など、時代に即した組織への変革が求められています。

入会資格とメリット・デメリット:現実的な視点での検討

ライオンズクラブへの入会は、誰でもできるわけではありません。既存会員からの推薦と理事会の承認が必要となります。「善良で地域社会で声望のある青年」という基準があるため、地域社会への貢献意欲と人望が求められます。

入会を検討する際には、以下のようなメリットとデメリットを総合的に判断することが重要です:

メリット デメリット
社会貢献活動に参加できる<br>地域社会への貢献を実感できる 高額な会費と交際費<br>経済的な負担が大きい
新しい人脈を作れる<br>多様な分野のプロフェッショナルとの交流 活動に多くの時間を割く必要がある<br>時間的な制約が生じる
経験やスキルが向上する<br>リーダーシップや組織運営スキルが磨かれる 高齢化や世代間のギャップ<br>組織の活性化が課題
自己成長の機会<br>奉仕活動を通して自己実現 入会審査が厳格<br>誰でも入会できるわけではない

実際の会員の体験談からも、ライオンズクラブ入会のメリットが伺えます。ある会員は「アクティビティを通じて、様々な世代、職業の方と知り合えたことが良かった」と述べ、その出会いを通じて自身の知見が広がり、入会から2年後に独立開業するきっかけになったと語っています。

また、自身の趣味と奉仕活動を結びつけた例として、カレー好きな会員が「チャリティカレーパーティー」を実施し、収益金を寄付する活動を行っているケースもあります。このように、個人の興味や専門性を活かしながら奉仕活動ができることが、ライオンズクラブの魅力と言えるでしょう。

一方で、デメリットとして挙げられる会費の高さや時間的制約については、クラブによって大きく異なります。例会頻度や参加義務の柔軟性など、事前に十分な情報収集を行うことで、自分に合ったクラブを見つけることができるでしょう。

ライオンズクラブとロータリークラブの違い:比較検討による理解

ライオンズクラブとよく比較されるロータリークラブとの違いは、理念、活動の重点、会員の属性、組織運営などにあります。以下に主な違いをまとめます:

  1. 理念と重点分野
    • ライオンズクラブ:「We Serve(我々は奉仕する)」を理念とし、社会奉仕活動を重視します。
    • ロータリークラブ:「Service Above Self(奉仕は自己を超えて)」や「I Serve(私は奉仕する)」を理念とし、職業奉仕にも力を入れています。
  2. 例会頻度
    • ライオンズクラブ:月1~2回が一般的です。
    • ロータリークラブ:週1回の開催が基本となります。
  3. 会員の属性
    • ライオンズクラブ:比較的年齢層が幅広く、職業も多様な傾向があります。
    • ロータリークラブ:伝統的に経営者や専門職が多い傾向がありますが、近年は多様化しています。
  4. 設立の歴史
    • ライオンズクラブ:1917年にメルビン・ジョーンズによってシカゴで創設されました。
    • ロータリークラブ:1905年にポール・ハリスによってシカゴで設立されました。興味深いことに、ライオンズクラブの創設者メルビン・ジョーンズは元々ロータリークラブの会員でした。
  5. 活動スタイル
    • ライオンズクラブ:より直接的な社会奉仕活動(アクティビティ)に重点を置いています。
    • ロータリークラブ:職業を通じた奉仕や国際親善にも力を入れています。

両団体とも社会奉仕を主な目的としていますが、アプローチや組織文化に違いがあります。どちらが良いかという問題ではなく、自分の価値観や参加スタイルに合った団体を選ぶことが重要です。

ライオンズクラブの改革と未来:変化する時代への適応

ライオンズクラブは創設から100年以上が経過する中で、時代の変化に合わせた改革を進めています。特に注目すべき最近の動きとして以下が挙げられます:

  1. 会員拡大とダイバーシティ: 2023年7月のボストン国際大会では、2027年までに全世界で会員150万人達成を目指す「ミッション1.5」という計画を発表しました。特に若手や女性、多様な職業の会員の勧誘に力を入れています。
  2. デジタル技術の活用: 多くのクラブではウェブサイトやSNSを活用した情報発信、オンライン例会の実施などデジタル化を進めています。これにより、忙しい現役世代でも参加しやすい環境づくりが進められています。
  3. クラブ形態の多様化: 伝統的な地域ベースのクラブだけでなく、企業内クラブや特定の趣味や関心に基づくクラブなど、多様なクラブ形態が生まれています。これにより、より幅広い層が参加しやすい環境が整備されつつあります。
  4. 透明性の向上: 会計や活動内容の透明化に力を入れるクラブが増えています。会員が納得感を持って活動できるよう、情報共有の仕組みを整える動きが広がっています。
  5. 国際協力の強化: グローバル化が進む中、国境を越えた協力プロジェクトが増加しています。特に災害支援や環境問題などの地球規模の課題に対して、国際的なネットワークを活かした取り組みが注目されています。

一般社団法人日本ライオンズの理事長は、「今こそ新たな工夫が必要となってきます。奉仕活動はいかなる時代においても尊いものであり未来永劫続いていかなければなりません。『未来』へ向かうビジョンを持ち、ライオンズクラブをもう一度見つめ直し、自らが変革し、それぞれの立場で協調して未来へ切り開いていく勇気が必要となります」と述べています。

特にコロナ禍を経て、新たな形の奉仕活動やクラブ運営が模索される中、変化を恐れず、伝統を守りながらも発展を続けることが、ライオンズクラブの持続可能な発展につながるでしょう。

結論:多面的な視点と客観的な評価

ライオンズクラブは、一部の会員の行動や誤解から「気持ち悪い」「怪しい」というイメージを持たれがちですが、その実態は地域社会に貢献するボランティア団体です。会費の高額さや高齢化、世代間のギャップといった課題は存在しますが、社会貢献に情熱を燃やす会員も多く存在します。

偏見や誤解にとらわれず、その活動内容や組織運営における課題、そして地域社会への貢献を多面的に理解し、客観的な評価をすることが重要です。世界最大の奉仕団体として、ライオンズクラブは地域社会や国際社会の様々な課題に取り組み、大きな貢献をしてきました。

より透明性のある運営体制と、若い世代への魅力的なアプローチによって、ライオンズクラブは更なる発展を遂げることができるでしょう。社会のニーズが多様化する中、適応力を持って変化し続ける組織こそが、次の100年も持続可能な奉仕を提供できるのではないでしょうか。

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