鶏肉は低脂質でありながら高たんぱく質という特徴から、健康志向の人やダイエット中の方、筋肉をつけたい方に人気の食材です。特に鶏むね肉やささみは脂肪分が少なく、効率的にたんぱく質を摂取できるため、積極的に取り入れられています。たんぱく質は筋肉や皮膚、髪の健康維持に欠かせない栄養素であり、成長や代謝に重要な役割を果たします。
100gあたりのたんぱく質含有量は次の通りです。
| 部位 | 含まれるたんぱく質(g) |
|---|---|
| 皮付き鶏もも肉 | 約16.6 |
| 皮付き鶏むね肉 | 約21.3 |
| ささみ | 約23.9 |
このように、鶏肉は効率よくたんぱく質を補給できる食材だといえます。
鶏肉を食べ過ぎるリスクとは?
一方で、鶏肉を過剰に摂取することは体に様々な悪影響を及ぼす可能性があります。栄養素のバランスが偏ること、内臓に負担をかけること、さらにはエネルギー・プリン体の過剰摂取による健康リスクが挙げられます。
たんぱく質の過剰摂取と内臓への影響
人の体は余分なたんぱく質を分解するときにアンモニアを生成します。アンモニアは有害物質ですが、肝臓で尿素に変換され、腎臓を通じて尿として排出されます。過剰なたんぱく質の摂取は、肝臓や腎臓の負荷を増大させるため、内臓疲労や機能低下のリスクになるのです。特に腎臓に障害がある方は、たんぱく質の摂り過ぎには十分な注意が必要です。
エネルギー過多による肥満や生活習慣病のリスク
鶏肉はヘルシーなイメージが強いですが、部位や調理法によってはカロリーが高くなります。例えば皮付きの鶏もも肉は100gで約190kcalと高めであり、鶏むね肉(皮付き)でも約133kcalあります。これを大量に食べ続けることはエネルギー過多を招き、肥満や糖尿病、高血圧など生活習慣病を引き起こす恐れがあります。
プリン体の摂り過ぎによる健康問題
鶏肉は豚肉や牛肉に比べてプリン体の含有量が高い傾向にあります。プリン体は体内で尿酸に変わり、その尿酸が過剰になると高尿酸血症の原因となります。また尿酸が結晶化して関節に炎症を起こすと痛風を引き起こします。痛風は急激な激しい痛みを伴うことも多いため、プリン体摂取量の管理が欠かせません。さらに尿管結石のリスク増加も指摘されています。
鶏肉の1日の適切な摂取量
健康的に鶏肉を取り入れるためには、1日あたりの適量を把握することが重要です。厚生労働省が推奨する1日のたんぱく質摂取量は、成人男性で約60~65g、成人女性で約50gとなっています。これは鶏肉以外の食品から得るたんぱく質も考慮した上で、鶏肉からの摂取を全体の半分程度に抑えた目安量です。
以下に、部位別の1日摂取目安量を示します。
| 鶏肉の部位 | 成人男性目安量(g) | 成人女性目安量(g) |
|---|---|---|
| 皮付き鶏もも肉 | 200 | 150 |
| 皮付き鶏むね肉 | 150 | 120 |
| ささみ | 130 | 100 |
この量であればエネルギーやプリン体の過剰摂取リスクは少なく、健康維持に十分なたんぱく質が得られます。
鶏肉を上手に取り入れるポイント
鶏肉は優れたたんぱく源であると同時に、様々な料理に使いやすい食材です。しかし鶏肉ばかりに偏った食生活は栄養のバランスを崩す原因となります。ここでは鶏肉を上手に食生活に取り入れるヒントを紹介します。
バランスの良い食事を心がける
たんぱく質は肉類だけでなく、魚、卵、大豆製品、乳製品など多様な食品から摂取しましょう。また野菜、果物、穀物も欠かさずに食べ、ビタミンやミネラル、食物繊維を補うことが健康維持には欠かせません。
調理法に注意する
揚げ物や味付けの濃い料理は脂質や塩分が多くなりがちです。蒸す、ゆでる、グリルするなど脂肪を落としやすい調理法を選ぶとヘルシーです。皮を剥ぐことで脂肪やカロリーをさらに減らせます。
プリン体を意識した食べ方
プリン体の多い鶏肉類は適量を守ることが基本です。尿酸値が高い方や痛風の既往がある場合は、医師と相談のうえ摂取制限を行いましょう。水分を多めに摂取し、尿酸を排出しやすくすることも大切です。
まとめ
鶏肉はヘルシーでたんぱく質豊富な優れた食材ですが、食べ過ぎると肝臓や腎臓に負担がかかり、エネルギーやプリン体の過剰摂取に伴う健康リスクが高まります。成人の1日の摂取目安はもも肉なら150~200g程度、むね肉やささみは100~150gが目安です。
健康で美しい体づくりのためには鶏肉を含むたんぱく質源をバランスよく摂り、栄養の偏りや過剰摂取を避けることが重要です。適切な量と調理法を心がけながら、日々の食生活に取り入れていきましょう。

